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 様々な細胞になれる能力を持つES細胞(胚(はい)性幹細胞)から卵子になる直前の状態の細胞をつくることに、京都大学の研究チームがマウスで成功した。卵子がどのような過程でつくられていくのかの解明につながるという。ヒトでも作れるように目指し、不妊の原因の解明につなげたいとしている。

写真・図版
研究チームがマウスのES細胞からつくった卵母細胞(左)。右は自然の卵母細胞。下線は50マイクロメートル。研究チームがつくった卵母細胞の方がやや小さい=野阪善昭さん提供

 これまで卵子のもとになる「卵母細胞」をつくるには、卵巣にある体細胞を一緒に培養することが必要だった。研究チームはこれまで、体細胞なしに精子や卵子になる大元の細胞から卵母細胞の初期段階までつくるのには成功していたが、今回、生理活性物質を与えるタイミングなどを工夫し、発生率が数%だったものをほぼ確実につくる方法を開発した。

 さらに、卵母細胞を卵子に成熟させるために必要な体細胞から分泌される物質の特定をすすめた。その結果、細胞間や細胞内で情報を伝えるたんぱく質や、ビタミンEなどの抗酸化物質を加えることで、卵子になる直前の状態まで再現することにも成功した。

 研究チームは、卵子の作製を…

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