Smiley face
写真・図版
欧州連合(EU)の欧州委員会本部の前に掲げられた欧州旗=2024年5月31日、ブリュッセル、牛尾梓撮影

 欧州連合(EU)は9日、米国のトランプ大統領が発動した鉄鋼・アルミニウムへの関税に対する報復関税案を承認した。3段階に分けて発動する予定で、第1弾は15日に設定した。

 報復案はハンガリー以外の26加盟国の賛成で承認された。政治専門サイト「ポリティコ」などによると、対象となるのは大豆やオートバイ、鶏肉など約220億ユーロ(約3・5兆円)相当の米国産品で、10~25%の関税が課される。

 当初、報復関税の対象は最大260億ユーロ(約4・2兆円)相当を想定していたが、米国を刺激したくない一部の加盟国の意見で乳製品などが削除され、規模が縮小した。当初予定していたバーボンへの関税も、米国の報復を恐れたフランスやイタリアなどの加盟国が猛反発し、対象から外れた。トランプ氏は、バーボンを対象にすればEUからの酒類に200%の関税で対抗すると表明していた。

 行政機関の欧州委員会は「米国が公正でバランスのとれた交渉結果に同意すれば、(鉄鋼・アルミ関税への)対抗措置はいつでも停止される可能性がある」とコメントした。

 EUは交渉での解決を諦めておらず、第1弾は15日に発動するが、残りは5月と12月の2回に分けて発動し、交渉の時間を確保するという。

 EUは、9日に発動された米国の相互関税に対する報復措置についても、引き続き検討する。

共有