2021年12月7日、フランス・パリ近郊にあるアマゾンの物流センター=ロイター

 欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会は5日、米アマゾンに対して、おすすめの表示やオンライン広告に関する情報を提供するよう要求した。

 この要求は、EUのデジタルサービス法(DSA)に基づくもの。アマゾンを含め、域内の月間利用者数が4500万人を超える巨大プラットフォーム企業を対象に、利用者保護などを義務づけている。

 その一つが、商品のおすすめや、利用者によって広告を出し分ける「ターゲティング広告」の透明性だ。なぜその商品や広告が表示されたのか、利用者に対して開示し、表示を拒否できる選択肢を与えなければならない。

 これに対しアマゾンは昨年、「私的な企業活動の尊重と事業遂行の自由という基本的権利が制限される」として、開示義務について異議を申し立てた。しかしEUの最高裁にあたる欧州司法裁判所は今年3月、「EUが守ろうとしている利益は、アマゾンの利益よりも優先される」と判断。ターゲティング広告を出し分ける際に使ったパラメーター(変数)などの開示を命じていた。

 アマゾンは26日までに情報を提供する必要があり、期日までに回答しなかった場合、制裁金が科される可能性がある。(ブリュッセル=牛尾梓)

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