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2025年7月8日、仏ストラスブールの欧州議会で演説するフォンデアライエン欧州委員長=AP

 欧州連合(EU)の欧州議会は10日の本会議で、フォンデアライエン委員長率いる欧州委員会への不信任動議を、賛成175、反対360、棄権18で否決した。2014年以来となる不信任動議では、新型コロナワクチンの契約などで説明責任の欠如が指摘されていた。

 政治専門サイト「ポリティコ」などによると、動議への棄権を示唆していた有力会派とフォンデアライエン氏との間で、次期EU予算案をめぐる「取引」が成立したとみられる。棄権から反対に回る議員が増えたことで、動議可決に必要な投票総数の3分の2に大きく届かなかった。

 7日に提出された動議には、極右とされる会派の欧州議会議員77人が署名。欧州委が製薬大手ファイザー社と結んだコロナワクチンの契約に加え、EUの「再軍備計画」を推進する過程で、議会審議を経ずに融資政策を強行したことなどを問題視した。

 動議では、「欧州委はもはや民主的なEUに不可欠な透明性や説明責任、良好な統治の原則を満たしておらず、議会の信頼を失っている」として、委員の総辞職を求めていた。

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