白い車体に青色のロゴをあしらった、インドの配車サービス「BluSmart(ブルースマート)」の車(中央)。サービスに電気自動車(EV)のみを用いる点が売りだった=2024年12月6日、ニューデリー、伊藤弘毅撮影

 電気自動車(EV)の新車販売に占めるシェアが世界で高まる一方、14億人超の人口を抱えるインドでの広がりは遅いと指摘されている。国内総生産(GDP)で近く日本を抜き、世界4位になると予想される有望市場で、なぜ車の電動化が進まないのか。

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 2月中旬、首都ニューデリーの国際空港。大気汚染でかすんだ空気のなかを歩くと、配車サービス「BluSmart(ブルースマート)」の乗降場があった。荷物を引いた客たちが、青色のロゴをあしらった白い車に乗り込んでいく。

 インドでの移動といえば、タクシーやオートリキシャ(三輪タクシー)の運転手とのタフな運賃交渉がつきものだったが、いまやUberなどの配車アプリが定着した。2019年に創業したBluSmartもそのひとつで、売りは、EVのみそろえていること。EVを示す、緑のナンバープレートをあしらった同社の車を、街中でよく見かけた。車の電動化の波がインドに到来しつつあると感じていた。

 試しに乗ってみた。迎えに来た車は、中国・上海汽車集団傘下のMGモーター製。インドで地元のタタ・モーターズ製に次ぐEV販売シェアを誇る。約5キロ乗って、運賃は369ルピー(約620円)。ガソリン車が主の他社サービスと比べて、それほど高くない。世界的に深刻な大気汚染対策にも一役買える。

国際空港の立体駐車場に、インドの配車サービス「BluSmart(ブルースマート)」の乗降場があった=2025年2月14日、ニューデリー、伊藤弘毅撮影

■突然のサービス停止…

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