トヨタとF1の関わりについて語った中嶋一貴氏=4日午後、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット

 トヨタ自動車が、世界最高峰の自動車レースであるフォーミュラワン(F1)との距離を縮めている。トヨタ所属のドライバーがF1チームに加入したり、F1のひとつ下のランクにあたるレースに参戦したり。トヨタの狙いはどこにあるのか。F1への再参戦はあるのか。F1ドライバーを経て、いまはトヨタでドライバー育成に携わる中嶋一貴氏に聞いた。

 ――昨年、トヨタ所属の平川亮選手が名門とされる英マクラーレンF1チームのリザーブドライバー(補欠選手)に就任し、今年からは宮田莉朋選手もF1直下のカテゴリーのレースに参戦しました。これまでのトヨタにはなかった動きに、注目が集まっています。

 「元々、トヨタがモータースポーツと接する中で、若手ドライバーの育成は一つの軸としてずっとやってきました。ただ、トヨタ自身がF1をやっていないということもあり、どうしても(F1を目指す)道がなかった。ところが、モリゾウ(豊田章男氏のレース出場時のドライバー名)さんがプロドライバーと接する中で、ドライバーが目指す頂点にF1があることを感じてくれた。その思いと、平川がル・マン24時間レースで優勝したり、宮田が国内レースで結果を残したりしたことがかみ合って、形になったのだと思います」

 ――トヨタは、自動車メーカーとしては2009年限りでF1から撤退しました。再参戦はありえますか。

 「トヨタが、メーカーとして、あるいは(動力源となる)パワーユニットサプライヤーとして、F1に参戦することはないと理解しています。ただ、メーカーとしてF1をやっていないからといって、トヨタのドライバーがそこを目指せない理由はありません」

 ――トヨタのドライバーが、F1ドライバーになる可能性はあるということですか。

 「間違いなくそれを目指して…

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