米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は12日、2001年以来の高水準にある政策金利(5.25~5.50%)を、7会合連続で据え置くと発表した。物価高(インフレ)の鈍化が十分に進んでいないことを踏まえた。同日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で全会一致で決めた。
同時に発表したFOMC参加者による経済見通しでは、年末時点の政策金利の水準を5.1%(中央値)と見込んだ。現在の政策金利水準と比較すると、年末までに今後1回の利下げを想定している計算になる。市場では年2回の利下げ予想が多かったが、FOMC参加者は先行きをより慎重にみていることになる。
前回3月時点では、年3回の利下げが想定されていた。利下げの予想回数の減少は、インフレ抑制が進んでいない現状を反映したものだ。
パウエル議長は12日の記者会見で、インフレは「過去2年で大幅に緩和された」としつつ「まだ高すぎる」と指摘。利下げ開始を念頭に「さらに良いデータを見る必要がある」と高い政策金利を続ける考えを述べた。
12日午前に発表された5月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.3%上昇で、12カ月連続で3%台となった。伸び幅は2022年6月の9.1%をピークに減速したものの、FRBの物価目標「2%」にはまだ距離がある。(ワシントン=榊原謙)