根強い米国の物価高(インフレ)の鈍化傾向をうけ、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月に利下げに転じる可能性が出てきた。米国の政策金利は23年ぶりの高水準で、利下げの遅れが雇用や経済全体に悪影響を与える可能性も出ており、FRBの難しいかじとりは続く。
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11日朝発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は前月比0.1%の下落で、マイナスはコロナ禍だった2020年5月以来、約4年ぶり。エネルギーに加え、広範な物品でインフレ圧力が緩んだ。CPIの伸びを底支えしてきた住居費(家賃など)の鈍化も寄与した。
「安堵(あんど)した」
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は11日、CPIをうけ、記者団にこう語った。物価情勢に加え、過熱感がなくなってきた雇用や経済の状況も踏まえれば、「いくらかの政策の調整は正当化される可能性がある」とも述べた。FRBが7会合連続で続けている政策金利の維持をとりやめ、0.25%幅の利下げに踏み切る可能性に触れたものだ。ロイター通信が伝えた。
デイリー氏は利下げの時期には踏み込まなかったが、市場では9月の利下げが予想の本線となっている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が金利先物取引の値動きから金融政策を予想する「FEDウォッチ」によると、9月会合での利下げの確率は85%(11日午後5時時点)で、1カ月前の47%から大きく伸びた。
米金融大手JPモルガン・チ…