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2025年6月19日、ロシア・サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムで、握手するプーチン大統領(右)とインドネシアのプラボウォ大統領=AP
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 インドネシアのプラボウォ大統領は19日、ロシア・サンクトペテルブルクでプーチン大統領と会談し、戦略的パートナーシップ宣言に署名しました。プラボウォ氏はカナダで開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)に招かれましたが、ロシア訪問が決まっているとして参加を見送りました。ジャカルタにある経済法研究センターのムハンマド・ズルフィカール・ラフマット中国インドネシアデスク長は、「G7の信頼性が落ち、世界の外交の重心が西欧諸国から離れつつある」と語ります。

 ――インドネシアはG7よりもロシアとの首脳会談を選びました。

 この決定には懸念があります。インドネシアの外交政策の方向がロシア・中国枢軸にシフトする可能性を示していると思います。インドネシアは長い間、(特定の陣営に偏らず、地域のバランサーとして積極的に働きかける)「自由で活発な外交政策」を取ってきましたが、今回の動きは、非自由主義的なパワーを心地良いと感じる動きの高まりを示唆しています。

 そして、国際社会の舞台で中立的な架け橋役としてのインドネシアの評判を損なうリスクがあると思います。

 ――プーチン氏とプラボウォ氏の会談をどう評価しますか。

 この会談では、防衛やエネルギー、農業、宇宙技術での協力提案など、具体的な合意が生まれました。しかし、特にインドネシア・パプア州(のビアク島)に、ロシアが(インドネシア政府が海外との協力を公言している)衛星発射基地を建設する可能性を巡り、地政学的な懸念も引き起こしています。

 会談の充実ぶりは、インドネシアがロシアとの関係を深める意欲が高まっていることを示していますが、伝統的な非同盟の姿勢を犠牲にしているのかもしれません。

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