宮武甫氏が撮影した原爆投下直後の広島の写真について語る朝日新聞記者ら=2025年7月4日午後6時7分、東京都目黒区三田1丁目、平川仁撮影

 原爆投下直後の広島の写真展「ヒロシマ1945」が開かれている東京都写真美術館(目黒区)で4日、朝日新聞記者らがトークイベントを行った。約90人の観客を前に、連合国軍総司令部(GHQ)の報道統制下でもネガを守った同社記者・宮武甫氏にまつわるエピソードを語った。

 宮武氏の写真の補正に携わった元社員の清水隆さん(65)は、宮武氏ががれきとなった広島や、全身を負傷した被爆者の姿を撮影した写真について、GHQが原爆写真の提出を命じても、自宅の縁の下に隠して守ったエピソードを披露。「隠すのは相当な勇気がいったはず。原爆の実相を伝えたいという思いだったのだろう」と語った。

 映像報道部の吉田耕一郎記者(62)は、宮武氏の写真に写った当時16歳の被爆者の身元を、2023年に取材で明らかにした経緯を語り、「名前や人柄を明らかにし、被爆者一人ひとりに暮らしや家族がいたことを知ってもらいたかった」と話した。

 写真展は8月17日まで。宮武氏や、各報道機関の記者による写真約160点が展示されている。7月10日午後6時からは、中国新聞編集委員が、撮影者の思いを証言や手記からたどるトークイベントがある。

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