【動画】H2Aロケット49号機の打ち上げ=中野内満也撮影

打ち上げられたH2Aロケット49号機=2024年9月26日午後2時24分、鹿児島県の種子島宇宙センター、朝日新聞社ヘリから、小宮路勝撮影

 日本の基幹ロケット「H2A」49号機が26日、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。予定通り、情報収集衛星レーダ8号機を軌道に投入し、打ち上げは成功した。

 H2Aは、2001年に初号機が打ち上げられ、これまで失敗は03年の6号機の1回のみ。今回の打ち上げで、成功率は97.96%となった。

 H2Aは今年度中に打ち上げ予定の50号機で引退する。高い成功率の一方で、打ち上げ費用が1回約100億円と高いことが課題だった。後継ロケットの「H3」は費用の半減をめざしている。

 打ち上げ後の会見で三菱重工業の徳永建(たつる)・打上執行責任者は「50号機も成功させて成功率98.0%を達成し、有終の美を飾りたい」と話した。

 搭載された情報収集衛星は、安全保障や大規模災害への対応に必要な情報を集めるのが目的で、事実上のスパイ衛星だ。

 今は4機体制で、地球上のあらゆる地点を1日1回以上撮影できる。政府は29年度までに10機体制にして1日2回以上にする方針だ。

 内閣衛星情報センターによると、8号機の開発費は約311億円で、打ち上げ費用は約118億円。これまで情報収集衛星の開発や打ち上げ、運用にかかったのは、予算額で1兆8千億円超にのぼる。

 同センターの納冨中(みつる)所長は会見で「我が国を取り巻く安全保障環境は年々厳しさを増しており、宇宙からの情報収集能力を着実に拡大していくことが重要だと考えている」と話した。

 H2Aの49号機はもともと11日に打ち上げられる予定だったが、悪天候のため2度延期していた。

 種子島宇宙センターでは10月20日にH3ロケット4号機の打ち上げが予定されていたが、延期も含めて今後日程を検討するという。(佐々木凌)

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