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雇用調整助成金の不適切受給について謝罪するエイチ・アイ・エスの矢田素史社長=2025年1月27日、東京都港区、益田暢子撮影

 旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)は27日、企業が従業員に支払った休業手当を国が補助する雇用調整助成金(雇調金)を不適切に受給していたとして、約62・5億円を返還すると発表した。子会社でも雇調金の不正受給があり、同社はグループ全体でほかに不正がないか調査している。

 HISによると、同社は新型コロナの感染拡大に伴い、2020年3月~22年12月に約242億円の雇調金を受給した。社員の一部は休業中に自宅から顧客にメールを送信するなど業務を行っていた。24年4月に会計監査人に情報提供があり、不適切な受給が発覚したという。

 27日に会見した矢田素史社長は「メール1通でも勤務にあたるという認識を持っていた者は多くなく、経営陣の指導や助成金制度の理解が足らなかったと反省している」と謝罪した。同社は調査のため、昨年12月に予定していた24年10月期決算の発表を延期している。

 また、同社子会社「ナンバーワントラベル渋谷」が就労した日を休業と偽り、雇調金約1・1億円を不正受給したと発表した。子会社社長は昨年12月に辞任し、違約金を含め計約1・3億円を返還するとしている。

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