重工大手IHIは30日、子会社が船舶エンジンの燃費データを改ざんしていた問題で、外部の特別調査委員会の報告書を公表した。特別委は、不正は少なくとも50年前から続き、過去に子会社の取締役が不正を知りつつ黙認していたと認定。「不健全な組織風土」で「根が深い」と指摘した。
不正があった子会社は、船舶用エンジンなどを生産する「IHI原動機」。前身の新潟鉄工所時代(2003年からIHI傘下)を含めて、1974年以降、確認できただけで船舶・陸用エンジン6830台で出荷前試運転における燃料消費率の改ざんがあった。うち2285台は顧客との契約で定められた仕様値を満たしていなかった。
IHIによると、不正を把握していた子会社の取締役2人のうち1人は生産部門の担当で今年の問題発覚後に退職。もう1人は取締役を退任したが顧問を務めているという。
特別委の調査では、少なくとも6回にわたり現場から生産、開発部門を含む役職員らへの問題提起があったが、受注を失ったり経営危機に陥ったりすることを恐れて見過ごされたと指摘。不正を経験、容認していた社員も経営幹部に昇進していたとした。
IHI出身者が多い社長には…