先進医療の適否を審議した厚生労働省の先進医療技術審査部会=2025年8月21日午後4時1分、東京都千代田区、野口憲太撮影

 iPS細胞を使った網膜の病気に対する治療法について、厚生労働省の専門家部会は21日、「先進医療」に適合しないと判断した。神戸市立神戸アイセンター病院が計画した治療法で、視力の改善など患者にとって意味ある効果があるかが現状の計画では十分評価できず、先進医療に認めるには再検討が必要だとされた。

 日本では「混合診療」が認められていないため、公的医療保険の対象外の治療を受けると、保険適用されている検査や薬の費用も全額自己負担になる。先進医療はその例外で、保険適用外の治療であっても、保険適用の検査や薬、入院料などが保険適用され、自己負担が軽くなる。先進医療は、現時点で保険適用されない先進的な医療技術について、将来の保険適用をめざして有効性などを評価するための仕組み。厚労省の審議会で審査され、厚労相が認めたうえで実施される。

 この日の部会で議論されたのは、目の奥で光を感じる網膜の病気の患者を対象に、他人のiPS細胞を網膜の組織に変えて、ひも状に加工したものを移植して、網膜組織の維持や回復をねらう技術。

 計画は、移植によって異常な網膜組織の面積がどのくらい減るかを、有効性の主要な評価項目と設定した。患者の視力や視野の改善がみられるかが評価されていないため、委員らからは「(治療の)有用性を示すことが難しい」と指摘された。

負担が妥当か判断根拠乏しく

 また患者には、明らかな治療…

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