受精から間もないヒトの胚(はい)をiPS細胞などを使って再現する「胚モデル」について、内閣府の生命倫理専門調査会は17日、規制の導入に向けて議論を始める方針を決めた。近年、研究が急速に進んでおり、今後、本物の胚に近い胚モデルがつくられる可能性がある。
ヒトの受精卵や、受精卵から胎児になる途中の胚は、日本では「人の生命の萌芽(ほうが)」とされ、研究のために新たに受精卵をつくることは指針で厳しく制限されている。胚モデルは、胚そのものではなく、卵子や精子も使わないため、現在の指針では想定されていない。
調査会ではこの日、専門家の作業部会が「個体産生につながることがないように制限することが妥当」とする報告書を提出。6月以降、指針改正も含めた本格的な議論に入ることが確認された。
胚モデルをめぐっては、国内外で研究が進められ、ヒトの発生や病気、不妊の原因の研究などへの応用が期待される。2023年には、受精後14日ほどの胚に相当するものだとする胚モデルをiPS細胞などから作製したと、米国などのチームが相次いで発表している。
現時点では、本物の胚の特徴を一部再現するにとどまるが、研究が進むと、本物のヒト胚により近いものがつくられる可能性もあり、報告書では「関係する指針の改正を検討する必要がある」と求めた。
報告書は、胚モデルと本物の…