iPS細胞からつくった心臓組織のシートを、重い心不全の患者に移植した、と東京女子医大が28日発表した。患者は予定通り移植後1カ月で退院した。このシートを移植する治験(臨床試験)は今後、東京大病院や九州大病院でも実施され、計10人の患者で効果と安全性を確認する予定だ。
心臓組織シートは京大発ベンチャー「アイハート・ジャパン」(京都市)が開発した。今回の移植が1例目となる。
iPS細胞から心臓の筋肉の細胞や血管の細胞を作り、シートを作製。シートの間にゼラチンをはさみ、5層に加工した多層シート(直径約4センチ、厚さ約1ミリ)を患者の心臓に移植する。シートから分泌される物質によって心臓機能の回復を図る。
今回の治験は、心臓のポンプ機能が落ちて心臓が大きくなる「拡張型心筋症」の18~79歳の患者が対象。この病気の患者は国内に約2万人いるとされ、子どもから高齢者まで幅広い年齢層で発症する。薬を使って心不全を予防するが、症状が進行すると、補助人工心臓や心臓移植が必要となる。
発表によると、移植は5月23日に実施。免疫による拒絶を抑えるために24週間は免疫抑制剤をのむ必要があるが、現在は外来で経過を観察しているという。
心臓移植は希望した全員が受…