iPS細胞からつくった神経細胞をパーキンソン病の患者の脳に移植し、治療の安全性や効果を調べる治験(臨床試験)について、京都大学の研究チームは17日、結果を公表した。細胞を移植した患者7人への健康上の大きな悪影響(有害事象)は無く、安全性が確認された。4人は症状が改善した。

 京大と連携して製品化を進めてきた製薬会社の住友ファーマは、この結果をもとに、2025年度中に製造販売承認の申請をする方針。申請されれば、iPS細胞を使った再生医療製品としては、大阪大発ベンチャーによる心筋シートに次いで2例目となる。

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iPS細胞からつくった細胞を脳に移植する手術のイラスト=京都大学の資料から作製

 治験の結果は16日付英科学誌ネイチャーに掲載された。

 パーキンソン病は、ドパミン(ドーパミン)という物質をつくる脳内の神経細胞が減り、手足が震えたり、体が動きにくくなったりする神経の病気。厚生労働省の統計によると、国内の患者数は約25万人いる。脳にドパミンを補充する薬物療法で症状を抑えるが、しばらくすると薬が効きにくくなり、症状が進む。

 今回の治験は、18年から医…

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