「下は農業、上は発電」。サッカーJ3ガイナーレ鳥取を運営するSC鳥取が、鳥取県米子市の新電力小売会社「ローカルエナジー」と連携して、芝を育てる農地の頭上に太陽光パネルを並べた「営農型太陽光発電所」を開設した。Jリーグでは初の試みという。電力は鳥取県境港市立第一中学校に安価に供給されている。
米子市彦名町の発電所で5月22日にあった開所式で、SC鳥取の塚野真樹社長は「芝の生産は地域密着で取り組んできたが、この事業はさらに地域密着の活動を展開できる可能性がある」。ローカルエナジーの森真樹専務は「持続可能な社会作りに貢献できるモデルになると思う」と述べた。
ガイナーレは2017年から、地域貢献活動として米子市の遊休農地などで芝生を生産する事業を進めており、規模は市内11カ所、約5万平方メートルに及ぶ。ローカルエナジーは2015年に設立。米子市、境港市と山陰酸素工業など5社が出資し、公共施設への電力供給を行っている。
今回の発電所の農地は個人所有の約2700平方メートルの畑。地面ではガイナーレが芝を生産し、その上部にローカルエナジーが太陽光パネル432枚を設置。パネルが日光を遮り夏の高温の影響が減るなどのメリットがあるという。また、芝はそれほど光量を必要としないという。
土地所有者にはSC鳥取とローカルエナジーが借地料などを支払う。年間発電量は約7万9千キロワット時。4月17日から、約12キロ離れた境港市立第一中学校に送電されている。ソーラーシェアリングと呼ばれる事業で、遊休農地の活用策として注目されているという。事業費は約1700万円。Jリーグ地域再生可能エネルギー助成金の対象として半額助成を受けた。