男性は田んぼを見ながら、「高い価格で売って、もうけたいわけではない」とつぶやいた=2025年5月25日、千葉県いすみ市、山田暢史撮影

 秋に収穫される新米を巡り、各地域で「青田買い」の動きが広がっている。農協(JA)は前年産よりも高い概算金(前払い金)を早めに示し、さらに「破格」の金額を提示する業者もいる。生産現場で繰り広げられる争奪戦は、新米価格にどのような影響をもたらすのか。

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 「集荷競争は激化している。落ちた集荷を回復させる足がかりにもつなげたい」。

 コシヒカリ(1等米、60キログラム)が2万3千円と、前年産よりも3割以上高い概算金を示したJA全農にいがたの担当者は説明する。さらに上積みして、最終的には2万6千円以上を目指す方針で、「生産が続けられ、消費者にも納得してもらえる金額にしなければいけない」と話す。

 コシヒカリ(同)が2万1千円と、31年ぶりに2万円を超える概算金を示したJAしまね(島根県)の担当者も「集荷を強化する狙いはあるが、(別の業者と)過度な価格競争にはしたくない」と話す。

 コメ価格の高騰を受け、田植えを終えた生産現場に異変が起きています。記事の後半では、嫌がらせ電話が相次ぐ千葉県の農家の男性が登場します。

米価高騰、集荷競争が激しく

 かつてJAは国内のコメの9…

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