学校の授業で使ってもらうため、国立研究開発法人が独自の教材を作る動きが広がっている。キーワードは「STEAM教育」。そこには、社会貢献だけではない狙いがある。
児童が見つめるタブレット端末の画面に、船の周りが氷で埋め尽くされた海の写真が表示される。
「これは2007年の北極圏の様子。季節も場所も全く同じで12年はどうなったと思う?」
氷がほとんどない海の写真に切り替わると、教室のあちこちで「え~」という驚きの声があがった。
横浜市立金沢小学校で10月にあった4年生の総合の授業だ。テーマは「人間の活動の海への影響」。自分たちに何ができるのかを考え、発表した。
北極圏の写真は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が調査の際に撮影したものだ。授業では、プランクトンが異常増殖する「赤潮」やプラスチックのごみが海底や海面を覆う動画も使われた。いずれもJAMSTECが作っている。
野﨑正敏教諭は「子どもたちが食い入るように資料を見ていて、反応が間違いなく違った。こんな資料は、一教員では作りたくても作れない」と効果を語る。
児童の三浦明莉さんも「資料…