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月の周りを回る宇宙ステーション「ゲートウェイ」のイメージ(C)NASA

 人類が再び月をめざす「アルテミス計画」で、日本人宇宙飛行士2人が月に降り立つことが決まったことを受け、宇宙航空研究開発(JAXA)は11日、宇宙飛行士・候補7人のコメントを発表した。

 7人のうち1人は早ければ2028年にも、日本人として初めて月に降り立つ可能性がある。大西卓哉さんは「月面で活動する日本人宇宙飛行士に選ばれるよう、飛行士としてのスキルを磨いていきます!」と意欲を示した。

 日米合意では、日本が月面での移動や飛行士の滞在スペースとして使う探査車(与圧ローバ)を提供することが盛り込まれている。JAXAとともに探査車「ルナクルーザー」の開発を進めるトヨタ自動車は、朝日新聞の取材に「活動領域を月にまで広げるという人類の夢の実現と、ルナクルーザーの技術を地球に還元することを目指して参ります」とコメントした。

写真・図版
トヨタ自動車がJAXAと開発中の月面探査車「ルナクルーザー」のイメージ。密閉された車中で寝泊まりしながら探査できる(C)トヨタ自動車

 JAXAによると、月に行く飛行士の選考はこれからで、選考方法も決まっていないという。7人のコメント全文は以下の通り。

  • 有人月探査「アルテミス計画」 日本人宇宙飛行士の候補2人は誰に?

【古川 聡さん(60)】

 今回の与圧ローバ実施取り決め締結により、日本の得意分野での挑戦・貢献による国際協力で有人月探査が今後進むことを、とても嬉しく思います。関係者のみなさまに感謝いたします。

【星出 彰彦さん(55)】

 月面有人探査の次の大きな一歩となる、「与圧ローバによる月面探査の実施取決め」が締結されました。人類の活動領域を更に拡大し、月面での活動を持続的に維持するのに必要となる、極めて重要な機能を日本が担うことになります。

 誰もまだ経験したことのない新しいチャレンジになりますが、これまで日本が蓄積してきた技術を結集し、JAXA宇宙飛行士の一員としても、世界中の関係者と力を合わせて貢献していきたいと思います。

【油井 亀美也さん(54)】

 このたび、文部科学省とNASAとの間に、歴史的な合意が結ばれたことを本当に嬉しく思います。月を目指して行う様々な活動には多くの困難が伴いますが、多くの方々と協力し一歩一歩努力を重ねる事で、それらを乗り越え、人類の歴史に残るような素晴らしい成果を上げる事が出来ると思います。

 私は、難しいミッションであればあるほど、心が躍ります!応援して下さる方々と共に、次の世代に夢と誇りを繫(つな)いでいきたいと思います。

【大西 卓哉さん(48)】

 私はアポロ計画終了後に生まれ、リアルタイムで人類の月面着陸を体験していません。当時を知る方々にお話を聞くと、何十年も前のことなのにそのときの状況を鮮明に覚えている方が多いことにいつも驚かされます。50 年以上の月日が経ち、再び人類は月面を目指し、日本もお家芸ともいえる自動車産業をはじめとした産業界と官が一緒になってこのアルテミス計画に大きな貢献をしようとしていることを大変誇りに思います。

 私もアポロを知らない世代の一人として、月面で活動する日本人宇宙飛行士に選ばれるよう、飛行士としてのスキルを磨いていきます!

【金井 宣茂さん(47)】

 日本の有人宇宙開発の新たな1ページが開かれることを心から嬉しく思います。JAXA 内外を問わずオールジャパンの力を結集して行う歴史的なプロジェクトであり、ワクワクが止まりません。

 わたし自身も、わずかなりともその一助となれるよう、そして日本のみなさまに夢と希望のある話題をお届けできるよう頑張りたいと思います。

【米田 あゆさん(29)※宇宙飛行士候補】

 月面での持続的な活動を実現する探査ローバ、月を周回するゲートウェイでの生命維持装置、および宇宙飛行士。日本の技術を結集し、米国を始め諸外国との国際協力の下、人類の新たなフロンティアへの挑戦がはじまっています。月面での人類の活動が飛躍的に広がり、科学をより発展させるとともに、日本や世界中の子どもたちにも夢や勇気を与えることでしょう。

 この合意を大変嬉しく思うと同時にご尽力くださった皆様に感謝申し上げます。未来へ胸躍らせつつ、貢献できるよう一歩一歩前進し、訓練に励んでまいります。

【諏訪 理さん(47)※宇宙飛行士候補】

 かぐや、SLIM を皮切りに本格始動した日本の月・火星探査への道は、月極域探査ミッション(LUPEX)や火星衛星探査計画(MMX)を経て、有人与圧ローバへと続いていきます。人類が月・火星そしてその先を目指す中で、日本の貢献の形がはっきりと見えつつあることに気持ちが高まります。

 そして日本にとって宇宙開発が確実に新しいフェーズに入ってきていることを感じます。我々は何を成し遂げ、そして次の世代に何をつないでいくのか。みなさんと一緒に考えながらその努力に微力ではありますが貢献できるよう頑張ろうという気持ちを新たにしました。(佐々木凌)

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