JR東海が経営する名古屋セントラル病院=2024年7月11日、名古屋市中村区太閤3丁目、嶋田圭一郎撮影

 JR東海が経営する名古屋セントラル病院(名古屋市中村区)の循環器内科で2022~23年、心臓のカテーテル治療を受けた40代患者が植物状態に陥り、50代患者が出血性ショックで死亡する事故が起きていたことが、複数の関係者への取材や関連文書で分かった。JR東海は「診療内容は当事者以外に回答できない」としている。

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 同病院では22年6月、心筋梗塞(こうそく)の治療を受けた40代男性が、血管の状態を調べる超音波検査中、致死性不整脈を起こして心肺機能が停止。低酸素脳症で遷延性意識障害(植物状態)となった。別の施設に移った現在も回復していない。

 担当医が生理食塩水と麻酔薬を取り違え、冠動脈に誤って麻酔薬を投与した可能性が高いという。院内調査に対し、担当医は覚えていないとしたが、麻酔薬の入ったシリンジ(注射器)がカラの状態になっていたという。

 病院は家族に当初、治療に伴う合併症として説明したが、約1カ月後、「シリンジの取り違えをした可能性は完全には否定できない」と伝えた。

 23年10月には別の医師が、心房細動と診断された50代女性へのカテーテルアブレーションの治療中、関連器具を挿入した右足の付け根2カ所で動脈性出血を確認。圧迫止血をし、挿入部を左足側に移して治療を終えた。その後、採血で顕著な臓器障害がみられたが、病院は圧迫止血などを続け、患者は治療から約2日半後、出血性ショックが原因の多臓器不全で死亡した。

報告書「明確な過失は認められない」

 今年2月の院内調査結果報告書によると、出血は、関連器具を使った際に何らかの血管を損傷したのが原因とみられる。循環器内科の医師に「出血を圧迫で止められないという経験がなかった」ため、外科的治療を考えなかったという。

 報告書は「予定治療に耐えら…

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