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列車を検知する設備「信号ボンド」の解析状況。下右は状態不良=JR高崎支社作成資料から
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 【群馬】JR東日本高崎支社は、デジタル技術を活用し、列車運行に欠かせないメンテナンス業務の効率化を進めている。夜間や現場の業務量を削減、スマート化して、労働人口減少を見据える。

 列車の乗務員と運行管理を担う輸送指令は連絡に無線を利用し、電波の届かないトンネル区間や山間部では「漏洩(ろうえい)同軸ケーブル」によって通話を確保している。ケーブルの胴体に開いた穴を通して電波を出しているが、ケーブルの状態を常時監視する手段はなく、不具合が発生した段階で異常を把握していた。

 高崎支社の社員の発案で、ケーブルから出される電波のレベルを測定する装置によって健全性を確認するシステムが開発された。今年度から装置の設置など導入に向けて工事に着手している。

 踏切などで異常が発生した際、赤色信号を点滅発光して付近の列車の運転士に知らせる「特殊信号発光機(特発)」。高崎支社管内の上越線沿線に約430カ所設置されており、点検作業は夜間など列車が走行しない時間帯に目視でしている。

 JR東は検査の省力化のため、近赤外線と画像処理技術を用いたシステムの導入を進めている。日中に走行する営業列車から撮影した画像を解析し、視認性を自動判定する。1回走行して撮影すれば区間全体の検査が可能だという。2024年度に実用化する予定だ。

 このほか、多数の列車が行き交う鉄道の安全運行に欠かせないのが、列車の位置を検知する設備だ。レールに設置した信号ボンドがレールに電気を流して、車両によって電気の流れ方が変わることを利用して車両を検知している。

 信号ボンドは、信号機や踏切付近などに設置されており、高崎線には約7100カ所ある。これまでは信号ボンドの設置状況を現地で目視検査してきたが、営業列車に搭載したカメラで撮影した画像データを正常な状態と比較することで状態の良否を判定する。高崎線で21年度から導入されている。

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