LGBTQなど性的少数者の子どもの多くが学校で困難やハラスメントを経験し、半数以上は教職員に由来するものだった――。そんな実態が民間団体の調査で明らかになった。
2023年に成立したLGBT理解増進法では、学校での理解促進などが努力義務とされているが、浸透せず、苦しむ子どもが後を絶たない様子が浮き彫りになった。
調査したのは、学校や企業などにLGBTQへの理解を促す授業などを行う認定NPO法人ReBit。4日に都内で会見し、調査結果を報告した。調査は今年2~3月にインターネットで行い、12~34歳の当事者4733人から有効回答を得た。うち25・4%が中高生だった。
報告によると、この1年間で中高生の89・5%が学校で困難やハラスメントを経験。教職員からと答えた人が63・8%にのぼった。主な内容は「LGBTQでないと決めつけた言動」「不要な男女わけ」「ネタ・笑いものにされた」などだった。
また、この1年間でいじめや暴力を経験したのは中学生で40・1%、高校生で24・0%。不登校を経験したのは中学生で23・6%、高校生で10・2%。「学校に行きたくない」と感じた中高生は58・2%だった。文部科学省が昨年公表した全国の調査結果と比べると、不登校の率は3~4倍高くなる。
さらに、担任の先生に安心して相談できないと回答した中高生は94・6%。他の先生や保護者に勝手に伝えられる不安や、伝えても状況は変わらないまたは悪くなるなどの理由が多かった。
ReBit代表理事の薬師実芳さんは、「大人よりも子どもは生きる場所を選びづらく、学校や家が安全でないとすごく生きづらくなる。制度が変わると共に、子どもの周りにいる大人たちの理解の促進が重要だ」と訴えた。
調査では他に、10代の半数以上が自殺を考えた、就労を経験した6割以上が職場で困難やハラスメントを経験したなども明らかになった。詳しい結果はネット上(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000073.000047512.html)で公開されている。