今季のMリーグ開幕日、東京都港区の「ベルサール六本木」で行われたパブリックビューイング。夜11時過ぎまで続いた熱戦を締めくくったのは、3着を確定させるドリブンズ・渡辺太のカンだった。
決して派手な選択ではない。それでもアガリをつかみに行く執念に、会場は大きく沸いた。
元Mリーガーの朝倉康心プロは「太さんらしい場を冷静に見た上で勇気のある選択だった。加えて、これは決して気合だけで押し切ったわけではない。ちゃんと理があって選んだ手だと思う」と振り返る。
牌(はい)図はドリブンズ・渡辺、風林火山・松ケ瀬隆弥、サクラナイツ・堀慎吾、雷電・萩原聖人による9月16日の第2試合南4局7本場13巡目。点数がマイナスに沈む渡辺と萩原による3着争いで、渡辺は5マンと3ピンをポンしてタンヤオを目指し、親番の萩原は9巡目にリーチをかけている。
3、6ソー待ちのノベタン(連続した4枚の数牌が並んだ単騎待ちの形)に構える渡辺は、ここで親の現物でもある3ピンを引いてくる。
安全牌をそのまま切るか、カンでツモ番を増やすか。
朝倉プロは「カンをするとどうなるか。分かりやすいのは、ドラが増える。仕掛けている太さんは1枚のみだが、リーチしている萩原さんは裏ドラも増えて打点が上がりやすくなる。なので、基本的に、親リーチに対して子がカンするのは良くないとされる」と説明する。
この場面、リーチしている親の打点を上げる可能性のあるカンなんてしないという考え方や、アガった時点で勝負が決まるので、早くツモるためにカンをするという考え方が出てくる。
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