北大西洋条約機構(NATO)は3日、ブリュッセルで外相会合を開き、ロシアによる侵攻が続くウクライナの軍事支援をめぐり、今後5年間で最大1千億ユーロ(約16兆4千億円)の基金創設の計画を協議していくことで合意した。これまでは米国をはじめ、加盟国とウクライナとの二国間での支援が軸だったが、長期的な支援を行うためにNATOとして一歩踏み込んだ。
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英紙「フィナンシャル・タイムズ」などによると、基金の創設はストルテンベルグ事務総長の提案で、7月に米ワシントンで行われる首脳会議に向け協議を進めるという。ロイター通信は外交筋の話として、今回の基金創設の動きに今年11月の米大統領選があると指摘。ウクライナ支援に懐疑的なトランプ前大統領の勝利が現実味を帯びるなか、安定的な支援策を模索する狙いがある。
NATOは非加盟国のウクライナについて昨年7月、同国との協議の枠組みをこれまでの「委員会」から格上げし、加盟国と対等に協議することができる「理事会」にした。ただ、加盟そのものについては、ロシアとの戦争に直接巻き込まれる危険性が高まることから、慎重な姿勢を示す国々もある。(ブリュッセル=森岡みづほ)