オランダ・ハーグで開かれていた北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議は25日、加盟国の国内総生産(GDP)に占める防衛費の割合を5%に引き上げる新目標を盛り込んだ首脳宣言を採択した。NATOに懐疑的なトランプ米大統領をつなぎとめる狙いがあるが、多くの加盟国にとって財政負担は重く、目標の達成は見通せない。
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従来の防衛費の目標は2%以上だった。だが、その2%でも下回っている国が2024年時点でスペインやイタリアなど9カ国あり、5%の達成は容易ではない。新目標の達成期限は35年までとゆとりをもたせた。
5%の内訳は、兵器調達など「中核的な防衛費」の3・5%と関連投資の1・5%。ウクライナへの軍事支援も自国の防衛費に含めるとしたほか、関連投資にはインフラ投資など幅広い項目が入っており、トランプ氏の5%への増額要求に応えるための「苦肉の策」とも言える。
トランプ政権は日本に対しても、防衛費を3.5%に引き上げるよう非公式で打診しており、将来的に正式な要求に発展する可能性がある。
トランプ氏は25日、今回の引き上げについて「NATOは我々と共に非常に強固になる。協力に感謝する」と評価した。NATOのルッテ事務総長は「米国とその同盟国の間の負担をより均等にしながら、われわれをより強く、より公平にするものだ」と語った。
ウクライナ支援は大幅にトーンダウン
一方、ロシアの全面侵攻を受けるウクライナへの支援については、昨年の首脳宣言から大幅にトーンダウンした。「ウクライナを支援するという永続的かつ主権的な尽力を再確認する」とし、NATO加盟については触れなかった。
昨年の首脳宣言はNATO加盟を「不可逆的な道」と位置づけていた。ロシアとの関係を重視するトランプ氏への配慮が浮き彫りになったかたちだ。
トランプ氏は25日、首脳会…