オランダ・ハーグで2025年6月23日、北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議を前に記者会見に臨むルッテ事務総長=ロイター

 北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は23日、加盟国が防衛費を国内総生産(GDP)比5%に引き上げる目標で合意したことを明らかにした。オランダ・ハーグで24~25日に行われるNATO首脳会議で正式に決定する見通し。防衛費の大幅増はトランプ米政権の強い要請を受けたもので、NATO全体の防衛力強化を狙う。

 ルッテ氏は首脳会議で5%への引き上げを含む新たな防衛投資計画に合意するとし、防空能力の増強や防衛産業の拡充を図る考えを明らかにした。

 従来の防衛費の目標はGDP比2%以上。ルッテ氏はこの防衛費を「中核的な防衛費」と位置づけて3.5%に引き上げたうえで、インフラ整備など関連支出に1.5%を充て、合計で5%とする案を提示していた。

 NATO加盟国が防衛費の大幅増で合意する背景には、トランプ米政権がウクライナ支援や欧州の安全保障に距離を置く姿勢を見せるなか、欧州がロシアの脅威に単独で対抗せざるをえない事態が現実味を帯びているからだ。

 ただ、GDP比2%以上とする従来の目標を達成しているのは、2024年の推計値で32の加盟国中22カ国にとどまる。新たな「5%目標」はこれまで以上に重い財政負担となるとみられている。

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