NHK放送センター=東京都渋谷区

 NHKは、民放と中継局を共同利用するために昨年設立した子会社を運営していくことが困難になったと民放各局に伝えたことが11日、関係者への取材でわかった。共同利用会社を軸に、地方民放局のインフラ面の費用負担を軽減し、テレビ各局の経営効率化を図る予定だったが、その方式は事実上、頓挫した。

 NHKは昨年12月、中継局共同利用のための新しい子会社「日本ブロードキャストネットワーク」を設立。民放各社からも出資を受け、今年末をめどに事業を本格化させる予定だった。

 関係者によると、新会社は採算が取れない見通しと判明し、NHKは会社として維持していくことが難しいと判断。また、新会社の役員構成を巡り、民放側は取締役の過半数を要求したが、NHKはその案をのめないと10日に民放側に伝えたという。

 一方、NHKは中期経営計画で、民放との二元体制の維持のために600億円を投入する方針を示している。そのため、新会社とは異なる形で、民放の中継局の費用負担も検討しているという。

 中継局の共同利用の背景には、民放各社を取り巻く厳しい経営環境がある。地域の放送網を維持する上で、人口減少の地域や山間部などに設置している中継局の設備更新の負担が重く、課題になっている。

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