NHKのラジオ国際放送の中国語ニュースで、外部スタッフだった中国人男性が沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」などと発言し業務を妨害されたとして、NHKがこの男性に1100万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁(足立堅太裁判長)は1日、全額の支払いを命じる判決を言い渡した。男性はNHKの訴えに応じず、反論などをしていなかった。
判決によると、男性は昨年8月19日、靖国神社への落書きのニュースを生放送で読み上げる際、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)と付属の島は古来から中国の領土です」「南京大虐殺を忘れるな」などと原稿にない発言をした。
判決は、男性の発言は「NHKの国際放送業務を妨害し、信用を傷つけた」と認めた。発言が生放送で流された悪質性などを踏まえ、請求全額の支払いを男性に命じた。
この問題を受け、NHKは国際放送担当の理事が辞任。総務省は行政指導で「公共放送としての使命に反する」などとしてNHKを注意した。その後、NHKは中国語ニュースに人工知能(AI)による読み上げを導入した。