この建物の、どこからどこまでが図書館? 初めて訪れたら戸惑うだろう。吹き抜けと一体になった伸びやかな空間は、「静かに本を読む場所」という旧来のイメージを覆す。
富山市立図書館の本館は、世界的建築家、隈研吾さんが設計した「TOYAMAキラリ」(同市西町)の中にある。中心市街地に立つ再開発ビルで、市のガラス美術館、銀行やカフェも入居する複合施設だ。
米紙ニューヨーク・タイムズは1月、「2025年に行くべき52カ所」の一つに富山市を選定。吹き抜けが特徴的な、キラリの内観も紹介した。その影響か、最近、建物内外でカメラを構える旅行者の姿が、いつにも増して目立つ。
ダイナミックな吹き抜けは、建物の2階から6階を斜めに横切っている。周りには、県産の杉の板(ルーバー)が巡らされ、天に向かって渦を巻く木立のようだ。
吹き抜けと、3~5階の図書フロアの間には壁がない。エスカレーターで昇り降りすれば、整然と並ぶ書架や閲覧席、その先の窓まで見渡せる。図書館の利用者は、ビル内を往来する人のざわめきや気配を感じながら、本を探し、読書を楽しんでいる。
「蘇(よみがえ)りつつある…