大阪・関西万博でジェンダー平等などの展示をしているウーマンズパビリオンの開幕式が21日、会場内のEXPOホールで催され、ニュージーランドの前首相ジャシンダ・アーダーンさん(44)が登壇。女性の地位向上の必要性について語った。
「ガラスの破片」まだ降り注いでいたけれど…
2017年に30代で首相に就任し、在任中に出産と産休を取得したことでも話題になったアーダーンさん。司会を務めた俳優のアンナ・サワイさんから紹介されて登場した。
スピーチの冒頭で、長距離競歩の選手で記録保持者でもあった自身の曽々祖母が、ニュージーランドの女性参政権を訴える活動に賛同して署名をしていたと紹介し、「私たちの国における女性の地位向上の歴史の基礎であり、最も重要な歴史的一歩だった」と語り始めた。
同国では1997年に初の女性首相が誕生しており、アーダーンさんは3人目の女性首相だった。自身は小さな田舎町で育ったが、女性が国会議長や総督、最高裁長官、首相などの要職を務める姿を「普通のこと」として見てきた。そのため、性別が政治家やリーダーを目指すうえで障壁になるとは考えたことがなかったとした上で、「前の世代の女性たちが『ガラスの天井』を打ち砕いてくれたおかげで、まだ破片が降り注いでいたとはいえ、道は既に存在していた」と言う。
一方で、世界では10人に1人の女性が極度の貧困に陥り、議会における女性の割合は4人に1人しかいない。そうした状況を解説した上で、「すべての女の子たちが、不安のなかで『自分に何ができるか』と思うのではなく『どういった選択肢を選ぼうか』と考えられる未来を」と女性の地位向上が必要だと訴えた。
式には国際的に著名な弁護士アマル・クルーニーさんのほか、俳優の鈴木保奈美さん、賀来賢人さんらもゲストとして招かれた。
ウーマンズパビリオンは内閣府やカルティエなどが共同出展しており、世界で活躍する女性の人生をたどる展示のほか、ジェンダー平等について学ぶコーナーなどがある。