岡山県吉備中央町の浄水場の水から健康への影響が懸念される有機フッ素化合物(総称PFAS(ピーファス))が検出された問題で、町は16日、全国初となる公費での血中濃度検査の結果について住民説明会を開いた。データを集計した岡山大大学院の頼藤貴志教授(疫学・衛生学)は「(PFASの一種の)PFOA(ピーフォア)の値が特に高かった」と説明した。
検査では7種類のPFASを調べた。PFOAの血中濃度の中央値は、浄水場の水を飲んだ地区の住民は1ミリリットル当たり156.3ナノグラム。この地区以外に住み、水を飲んでいない住民は3.0ナノグラムだった。また、この地区に勤務するなどして水を飲んだ人(非居住)は14.2ナノグラムだった。昨年11~12月、給水地区の住民521人と非居住の188人の計709人に検査をしたが、比較のため水を飲んでいない住民20人にも行い、今回報告した。
それぞれの平均値は171.9ナノグラム、3.1ナノグラム、35.2ナノグラム。他の6種ではこれほどの大きな差は見られなかった。町内の資材置き場にあった使用済み活性炭がPFASの発生源とみられており、付近の土壌からは高濃度のPFOAが検出されていた。
国内ではPFASの血中濃度の基準は設けられていないが、米国の学術機関は20ナノグラムを指針とする。頼藤教授は「飲んだ人の濃度は高かったが、健康影響への解釈は難しい」と説明。その上で「PFASはゆっくりだが体外に排出される。定期健診を受け、何かあれば医療機関の受診を」と促した。町は対象者に後期高齢者健診などを無料実施すると説明した。説明会には約200人が参加。住民の男性(71)は「すっきりはしなかった」と不満げ。「米国には指針があるのに、健康への影響がわからないという説明には納得がいかない。町は検査を毎年実施すべきだ」と話した。