Smiley face
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 親が子どもの写真をSNSなどに載せる行為は、子の意思を置き去りにしているのでは――。そんな問題意識が少しずつ広がっている。

 「顔出しを終了します」

 子育て情報を発信するインスタグラムのアカウント「すずぱぱ」は2024年5月、こんな投稿をした。運営する男性によると、娘が3歳の誕生日を迎えたのがきっかけだった。それまでは娘の顔が分かる写真を投稿していたが、今は顔が写っていない写真を選んでいるという。

 娘の誕生に合わせてアカウントを開設したのは、「イヤイヤ期」を乗り越えるまでの実体験を記録し、家庭科教師の立場から育児に役立つ情報を発信しようと考えたから。子育て世代などから共感を集め、フォロワーは3.9万人を超えた。

 ただ、開設当初から、娘の顔写真は期限付きと決めていた。「子どもの許可なく投稿するのは倫理観にも引っかかった」。年齢が上がれば無断利用の危険性が高まるとも思っていた。

 親が子どもの成長する姿をSNSなどで公開する行為は「シェア(共有する)」と「ペアレンティング(子育て)」に由来する造語「シェアレンティング」と呼ばれる。画像が共有できるSNSの流行とともに、活発になった。

「写真載せないで」 娘の言葉きっかけに

 韓国の児童文学作家ジェ・ソンウンさんは、自身の子育て経験を元に21年、一冊の本を出版した。タイトルは「インフルエンサーのママを告発します」。23年には日本語訳もされた。

 主人公「ダルム」は小学5年生の女の子。母親の「リナビ」はフォロワー20万人をもつインフルエンサーとして活動し、娘の成長の様子をSNSに投稿してきた。

 ダルムは学校でもインフルエンサーの娘として注目を浴びる。だが、同級生に勝手に写真を撮られたり、母親のSNSで自分の恥ずかしい写真が公開されたりすることに複雑な思いを抱いていた。あるとき、1人のクラスメートの言葉をきっかけに素直な気持ちを母親に伝えようと決意するストーリーだ。

 ジェさん自身、かつて娘の写…

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