全国学力調査に臨む児童=2024年4月18日午前8時50分、東京都内の小学校、代表撮影

 全国の小6と中3を対象に4月に実施された全国学力調査(国語と算数・数学2教科)の結果と、同時に実施されたアンケートの集計結果が29日に公表された。アンケートでは、SNSや動画視聴に費やす時間が2022年度と比べて延びていることが明らかになった。さらに、これらの時間が長くなると平均正答率が低くなる傾向もみえた。

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 平日に携帯電話やスマートフォンを使ってSNSや動画視聴をする時間を尋ねたところ、「1日あたり3時間以上4時間未満」と答えたのは小6で8.7%(前回22年度比で0.1ポイント減)、中3で14.2%(同0.4ポイント増)。「4時間以上」は小6で11.8%(同0.9ポイント増)、中3で17.9%(同2.5ポイント増)。中3では「3人に1人が3時間以上」という結果になった。

 SNSなどの使用時間と、各教科の平均正答率も調べた。どの学年どの教科でも、使用時間が長いほど、正答率が低くなる傾向がみられた。特に差があったのは中3数学。使用が4時間以上のグループと30分より少ないグループでは、平均正答率が18.5ポイント違った。最も差がなかった中3国語でも、12.3ポイント差があった。

 ただ、「スマホなどを持っていない」グループは、使用時間が「30分未満」グループよりは平均正答率が低かった。文科省によると、持っていないグループは、所得や学歴といった「家庭の社会経済的背景」(SES)が低い可能性があり、高SESグループよりは平均正答率が低くなる傾向があるという。

使用3時間以上の子、勉強時間少なく

 使用時間と、授業以外の勉強時間との関係も調べた。使用を3時間未満と3時間以上のグループに分け、平日1日あたり30分以上勉強していた割合を比較。使用時間が短いグループのほうが勉強している人が多く、小6で13.8ポイント、中3で14.1ポイント差があった。

 平日休日問わず、勉強時間が長いほど正答率が高い傾向にあることは、今回の調査でも明らかになっている。しかし、1日30分以上勉強している割合は、小中とも21年度から減り続けている。

 SNSなどの使用時間の増加は勉強時間の減少、ひいては学力低下につながっていないか――。文科省は、テレビの視聴時間が減った代わりにSNSなどの時間が増えた可能性もあり、勉強時間の減少がSNSなどの使用だけが原因とは言い切れないと指摘。加えて「『学力』が下がっているなら憂慮すべきだが、そういった事態になっているとは判断できない」としている。経済協力開発機構(OECD)の国際的な学習到達度調査(PISA)で、日本の成績は高水準を維持していることが理由という。

 ただ、PISAでもSNSなどに費やす時間が一定程度を超えると正答率が低下することは指摘されている。SNSなどの使用時間が「3時間以上」のグループは、スマホなどを「持っていない」グループより正答率が低かったことも挙げ、「一定の使用時間の長さが影響を与えることは見て取れる」として、長時間使用に警鐘を鳴らした。

「47都道府県の平均正答率一覧表」に加えて、2024年度の国語と算数・数学で上位10位以内に入った都道府県の、直近5回の調査での順位の推移を掲載しています。

中3国語、平均正答率大幅減 学力調査結果

 今年度の学力調査の各教科の…

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