大阪府門真市の市立中学でいじめを受けたとして、2022年に自死した3年の男子生徒(当時15)の両親が5日、市と元同級生11人に損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。「金銭問題と受けとられたくない」として請求額は明かしていない。
訴状によると、いじめは1年時から始まった。同学年全員が入るLINEグループに「雨の匂い臭ない?笑」と書くと「お前の方が臭い」などと書き込まれ、所属していたバスケットボール部では仲間外れにされた。
3年になるとインスタグラムの質問箱に「一回しんでください」「なんで4なないの?」などと書かれ、21年11月ごろから食事量が減って頻繁に欠席するようになり、22年2月に自死に至った。
訴状で原告側は、何度被害を訴えても学校側はいじめと認知しなかったとも主張。「いじめや不適切な指導で心理的負荷が過度に蓄積した状態が続き、自死に至った」と指摘した。会見した母親は「母として、息子を守れなかった自責の念にさいなまれています。人の心を破壊するまで攻撃することは絶対に許されることではない」と訴えた。
代理人の生越(おごし)照幸弁護士は「直接的な暴力はないけれど、SNSの書き込みの内容は苛烈(かれつ)で膨大だった。加害生徒だけではブレーキがかからないことがあり、親や学校がきちんと指導すべきだった」と話した。
市の第三者委員会が23年12月にまとめた調査報告書は「いじめと自死は密接に関連があると考えられる」とし、学校の対応に問題があったと認定している。提訴を受け、市は「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としている。(大滝哲彰)