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講師を務めた(左から)板屋萌々さん、三井俊和さん=2025年4月16日午前10時20分、京都府久御山町、木子慎太郎撮影
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 「闇バイト」をめぐる犯罪に若者が巻き込まれるケースが相次いでいる。高額報酬をうたうSNSがきっかけだ。そのリスクを知ってもらおうと、京都府警は16日、久御山町の久御山中学校で情報モラル教室を開いた。生徒たちはタブレット端末で疑似体験し、SNSの危険性を学んだ。

 3年生が自分の机の上のタブレット端末を見つめていた。画面に出てきたのは求人広告。

 「時給1万円」

 この誘いに応じた結果、強盗の実行犯に仕立てられるというアニメ教材だ。応募したのは、クラブ活動や勉強に励む、ごく普通の高校生。

 この教材をもとに、中学生たちは「応募するかどうか」「やり取りで何を感じるか」といった設問に答えながら、SNSを通して犯罪に加担するまでの流れを追体験した。

 講師を務めたのは、府警が委嘱する「ネット安心アドバイザー」の三井俊和さん(41)と坂元美奈さん(53)、サイバー学生ボランティア「CYCOT(サイコット)」の板屋萌々さん(21)の3人。三井さんはアドバイザーとして10年目を迎え、今回の教材の製作にも携わった。

 「『これは犯罪ではないだろう』と高額バイトに気軽に関わってしまう子どもが多い。一度足を踏み入れると、個人情報を握られ、脅され、抜け出せなくなる。中学生のうちから危機感を持ってほしい」

 板屋さんは同志社大学法学部4年で、将来は警察官を目指している。「難しい内容を少しでもわかりやすく伝えられるよう工夫した。授業後、生徒から『時給が高いと、つい応募しそうになる』という声があり、こうした授業の大切さを実感した」と振り返った。

 授業を受けた井野惺太(せいた)さん(14)は「簡単に高額な収入を得ることは難しい。高校に進んでアルバイトを始める時は気をつけたい」と話した。

 府警サイバー企画課によると、闇バイトや不正アクセスなどネットに関する相談は年々、増加傾向にあるという。

 2024年の府内のサイバー犯罪関連の相談件数は6968件にのぼり、04年以降で最多だった。20歳未満からの相談は263件で、前年より119件増えた。

 寺井亮彦次席は「中学生はネットの利用が増えるが、ネットの怖さや対処が身についていない年代。だからこそ、迷わず、すぐに相談してほしい」と呼びかけた。

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