土方嘉徳・兵庫県立大教授=提供

 自分の「お気に入り」をフォローする手段だったSNSは、今や様変わり。バズっているコンテンツが「オススメ」として次々とスマホ画面に流れます。SNSは人々の意思決定にどんな影響を及ぼすようになったのか、兵庫県立大の土方嘉徳教授(ソーシャルメディア論)に聞きました。

SNSのオススメで2割が行動変化

 ――通勤電車でスマホを眺めていると、興味のなかったものを眺めている自分に気がつきます。SNSは人の好みを変えるのでしょうか。

 SNSの「オススメ」を、人はどれくらい受け入れるのか。そんな調査を3年前にしました。

 「推薦された動画を見て、好きでなかった分野を好きになったことがあるか」など複数問を約600人に聞いたところ、2割弱がユーチューブの「オススメ」で行動を変えたことがありました。

 ――なぜ、他人のオススメに左右されてしまうのでしょうか。

 実は、ごく普通のことです。人は元来、楽して情報を得ようとする傾向があるからです。「認知資源の節約」と言われます。

 自ら話を聞いて情報を集める必要がある実世界と違い、SNSは情報が次々入る。ただ、それは他人の視聴履歴。その結果、自分の信条や価値観より他人の行動に判断基準を置きがちになります。

兵庫県知事選で起きた「雪だるま式」動き

 ――兵庫県知事選では、当初支持率が低いと報じられた斎藤元彦氏への支持がSNSで広がり、ついに再選しました。

 「サイバーカスケード」が起きていたんだと思います。インターネット上で、人々がある一つの意見に集まっていき、最終的に大きな流れになる現象です。

 他人の意思決定が積み重なっ…

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