Smiley face
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参院選候補の街頭演説を動画で撮影する陣営スタッフ=2025年7月9日、東京都、遠藤和希撮影
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 ラグビージャージー姿の男性候補が急坂を全力で駆け上がる。長さ260メートルを上り切ると、息を切らし、ガッツポーズで訴えた。「投票所では○○(名前)にトライ!」

 2022年の参院選期間中、ある維新候補が人気番組をまねてユーチューブに投稿した動画だ。この議員の「選挙運動費用収支報告書」によると、動画制作代として、約95万円をコンサルタント会社に支払った。「キャラクターが伝わる動画が作れた」という。

 社民議員は、街頭での活動や対談動画の撮影・編集、ユーチューブ配信を約47万円で初めて外部委託した。それまでは国会質疑などを配信する程度だったが、「SNSでの動画配信が珍しくなくなり、有権者から求められる画質や音声のレベルが上がっている」と考えて委託を決めた。

今回の参院選を前に、朝日新聞が2022年の前回選で当選した現職114人を対象に選挙費用を分析すると、少なくとも4人に1人の割合の約26%の30人が外注し、計約3560万円を計上していた。SNSなどでの発信が投票行動を左右する傾向が強まるなか、候補者が訴求力を高めるための質にこだわる動きは加速するが、現行法への戸惑いも広がっている。

 外部委託した議員らに理由を…

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