TikTokのアプリのロゴ=2022年8月22日、ロイター

 アイルランドのデータ保護規制当局は2日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の運営会社に対し、5億3千万ユーロ(約870億円)の制裁金を科すと発表した。欧州で利用する人の個人データの一部が中国内に保存されていたことなどが、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に違反すると判断した。

 GDPRはデータ保護監督機関の承認を得ず、EU加盟国にノルウェーなどを加えた「欧州経済領域(EEA)」の外に個人データを持ち出すことを禁止している。運営会社は中国内のサーバーにデータは無いと主張していたが、調査したアイルランド当局は一部が保存されていたと指摘した。

 また、中国がGDPRに見合う水準のデータ保護を法律で保証せず、スパイ行為の防止を目的にした「反スパイ法」などがデータ保護を妨げていると判断した。

 さらに、データの使われ方などを利用者に示す「プライバシーポリシー」にも問題があった。中国にいる開発者がシンガポールと米国に保存されている個人データにアクセスすることが、2022年12月まで明記されていなかった。

 運営会社は、6カ月以内にGDPRに準拠するよう対応するか、欧州から中国へのデータ転送を停止する必要がある。

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