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TNFDについて語る原口真さん=2024年12月17日、東京都千代田区
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 自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)への企業の関心が高まっている。この枠組みに基づく情報の開示を行う企業も相次ぐ。TNFDの特徴は。なぜ重要性が増しているのか、TNFDの枠組みづくりに取り組むタスクフォースのメンバー原口真氏(MS&ADホールディングス サステナビリティ推進部TNFD専任SVP)に聞いた。

 1月現在140の日本企業が、2025年会計年度中にTNFDに基づく情報を開示すると表明している。世界的にみても非常に熱心だ。正直、予想以上だ。

 海外でも理由をよく尋ねられるが、背景として2010年に名古屋であった生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)以降、多くの企業が環境方針などに気候変動と生物多様性を盛り込んでおり、海外とくに米国などに比べて、経営陣に生物多様性の保全という意識が浸透していることが大きいのではないか。加えて、「他社がやるならうちも」という日本企業の横並び意識が良い方に影響していると感じる。

 気候変動対策の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)とTNFDの違いを挙げると、TCFDは温室効果ガスの排出量というインパクトを可視化し、総量を減らそうというシンプルな考え方に基づく。TNFD、自然関連課題の場合は汚染物質を出す、水や木を過剰に採取するといったインパクトだけではなくて、自然からの恵みや得られる依存についても明らかにすることを求めているのが特徴だ。土地や水がなければ多くのビジネスが成り立たない。その恩恵を受けているからだ。

 ただ、企業にビジネスモデル…

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