Smiley face
USスチールの本社ビル=2018年、米ピッツバーグ、江渕崇撮影

 米鉄鋼大手USスチールの臨時株主総会が12日にオンラインで開かれ、日本製鉄の買収案が賛成多数で承認された。買収実現に向け一歩前進したが、米鉄鋼業界の労働組合が反対し、秋の米大統領選挙を前に政治問題化。買収が実現するかは不透明なままだ。

 発行済み株式の約71%、投票総数の98%以上が賛成した。日鉄は昨年12月、USスチールを2兆円超で買収すると発表。1株55ドルで買い取る予定で、11日の終値は42ドル余り。大株主のファンドや、機関投資家の投票に影響力をもつ議決権行使助言会社が賛同を表明し、株主総会での承認は確実視されていた。両社は9月までの買収完了を目指す。

 USスチールは総会後、買収案は「米国と地元ペンシルベニア州にとって最善の道筋」で「中国との不公平な競争に直面しながらも、USスチールと国内鉄鋼業界をより強く、競争力あるものにする」と声明を出した。日鉄も「設備投資の拡大や先進技術の提供を通じて、米国市場においてUSスチールを支え、成長させる」と買収の利点を強調した。

 株主の承認を得られても、大…

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