2022年7月19日、米ミシシッピ州の接種会場に置かれた、モデルナ社製の新型コロナウイルスのワクチン=AP

 世界保健機関(WHO)は20日、スイスのジュネーブで開かれている年次総会で、新たな感染症の世界的流行(パンデミック)に備える「パンデミック条約」を採択した。1月にWHOからの脱退を表明した米国は採択に加わっておらず、条約の実効性が懸念されている。

 この条約は、新型コロナウイルスの感染拡大の教訓を踏まえて、国際社会が感染症対策の強化をめざすもの。医薬品やワクチンの製造技術などの移転を求める途上国と、技術流出を防ぎたい先進国の対立が長引き、3年以上の交渉を経て採択にこぎ着けた。

 条約には「パンデミックの予防や対応についてより公平な世界を実現する」と明記。疾患の発生状況(疫学情報)とともに、ウイルスなどの病原体や、その遺伝情報を共有し、薬やワクチンなどの早期開発につなげ、さらにそれを途上国にも供給できるようにすることなどが盛り込まれた。

 一方、世界的な製薬大手を抱える米国は今回の採択に参加しなかった。米国はワクチンの研究開発などをリードする存在だが、不参加になったことで、条約の実効性に影響が出る恐れが指摘されている。

 「病原体アクセスと利益分配…

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