9日に東京都内で開かれた自民党大会は、党にとって年1回の最重要イベントだ。
党則によると、「党大会は党の最高機関」であり総裁が招集する。国会議員と各都道府県連4人ずつの代議員で構成され、党則・規律規約の改正や運動方針などを決定する。
連立パートナーである公明党代表が招待され、あいさつすることが続いており、自公関係を測るバロメーターになっている。
昨年は派閥の裏金問題が大きな騒ぎになる中、山口那津男代表(当時)が登壇。「国民の大きな不信を招いている。説明責任を果たし信頼回復に結びつけてほしい」と注文をつけた。
今年の注目は、労働組合の中央組織・連合の芳野友子会長を招いたことだ。連合トップの党大会出席は20年ぶり。近年、労働者の賃上げに力を入れてきた自民党だけに、立憲民主党と国民民主党を支持する立場の連合であっても、関係性を重視している。
大会を盛り上げようと、活躍したスポーツ選手や文化人を招くのも自民党大会の特徴だ。
2014年の国歌斉唱は歌手の松崎しげる氏が務めた。安倍政権が女性活躍社会を打ち出した直後の15年には、歌手の中西圭三氏が登場。代表曲の「Woman」や作曲した「Choo Choo TRAIN」を熱唱した。
時には、耳の痛い言葉も。
1989年は作家の曽野綾子氏が、リクルート事件を受けて「政治家は、国民を愚かなものとなめて考えられました。慎みと誠実さを欠くすべての行為は傲岸(ごうがん)さを示します」と痛烈に批判した。
野党の立場で迎えた2010年には、元プロ野球監督の野村克也氏が登場。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。勝っても反省しない。そこに皆さんの落とし穴があったんじゃないか」と、得意のぼやきでエールを送った。
新型コロナの影響で党大会が中止された20年以降は派手な演出を避け、ゲストスピーカーもほぼ招いていない。党関係者によると、今年もサプライズ演出は予定していないという。
近年、自民党大会に招かれた主な著名人(敬称略)
2010年 野村克也(元プロ野球監督)
14年 室伏広治(ハンマー投げ選手)、成田真由美(パラ競泳選手)
15年 天野浩(ノーベル物理学賞受賞者)
16年 梶田隆章(ノーベル物理学賞受賞者)
17年 福原愛(卓球選手)、上地結衣(車いすテニス選手)、ベイカー茉秋(柔道選手)、原晋(青山学院大陸上競技部監督)
18年 高木美帆(スピードスケート選手)
19年 谷垣禎一(元自民党総裁)
22年 富田宇宙(パラ競泳選手)