SHIBUYA109にハンズ渋谷店、渋谷モディ、東急百貨店本店……。閉店した東急本店を含め、東京・渋谷にあるこれらのランドマークは、どれもY字路にある。そんな「Y字路の街」とも言える渋谷周辺を2時間半かけて巡るまち歩きツアーがある。ガイドをしているのは、京都大大学院で地理学を専攻する重永瞬さん(28)。いわば「Y字路の専門家」だ。
1本の道が二股に分かれるY字路。文字通りYの形に見える鋭角の三差路に、重永さんは魅せられてきた。撮りためた写真は1千枚近くになる。
写真を撮って終わり、ではない。
「Y字路はクイズ。Y字路を見ると、それがどう形作られたかという問いを投げかけられている気がして」
2本の道が交わる角度、道幅や勾配、樹木や標識、郵便ポストといった角地の使われ方……。音や匂いさえもY字路の「構成要素」として捉える。特徴を調べ上げ、その「個性」をじっくりと観察する。
「角に立ち食いそば店があれば、だしの香りが漂ってくる」
こうして、重永さんは自らの足で稼いだデータや地図の分析も織り交ぜ、Y字路の形成要因を以下の四つに分類した。
①異なる目的地に向かう道が…