Smiley face

 今年、結成5周年を迎えた2人組の音楽ユニット「YOASOBI」。デビュー曲「夜に駆ける」からヒットチャートをにぎわせ続け、昨年は「アイドル」が海外でも大人気に。今年は米国での単独公演や有名音楽フェスティバルへの出演も果たした。

 そんな目覚ましい飛躍を続ける今、作曲・作詞を手がけるAyaseさん(30)とボーカルのikuraさん(24)は、「Jポップの可能性」や「ヒットチャートとの向き合い方」などについて、どんなことを考えているのか。

 10月下旬、じっくりインタビューした。(文中は敬称略)

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YOASOBIのAyaseさん(左)とikuraさん=村上健撮影

 ――初のドームツアーの真っ最中です。10月26、27日の大阪・京セラドーム公演も大きな反響がありました。11月9、10日には東京ドーム公演がありますね

 ikura 約1年かけて作り上げました。京セラドームに満員のお客さんがいて、1曲1曲をしっかり表現できることの喜びでいっぱいになりました。

 Ayase 5周年の記念を、応援してくださったかたと一緒に最大のキャパシティーで楽しめたら、と考えました。結成時には想像できなかった景色。やってきたことが着実に結果に結びついて良かったと思っています。

 ――この5年間、大きな転換点といえる時はあったでしょうか

 Ayase (昨年春の)アリーナツアーです。ツアー自体初めてで、チームワークはもちろん不可欠だし、ライブを軸にした生活の作り方も勉強になり、一つの試練でもありました。

 自分たちの中で「こんな風にYOASOBIを見せたいな」というビジョンも出てきた頃でした。

 アリーナツアーの頃になると、仕事の取り組み方や生活に慣れてきて、ただ必死にしがみついてやるとか、言われたことに「OK」と言うだけではなく「どんなYOASOBIの見せ方をしたいのか」をチームで話し合うようになりました。そこで、皆のゴールは「できるだけ多くの人に聴いてもらえる存在にしたい」だと確認できました。

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YOASOBIのikuraさん(左)とAyaseさん=村上健撮影

 ikura YOASOBIとして初のライブパフォーマンスとなった紅白歌合戦(2020年)は、忘れることができないくらい大きな日でした。アリーナツアーは、ボーカルとして自分がすごく成長できた期間で、すごく大きなターニングポイントだったなと思います。

「今年は明確に明瞭に、勝ちにいく」ツイートの真意

 ――2023年1月、Ayaseさんはツイッター(現在はX)で「今年は明確に明瞭に、勝ちにいく」と投稿しましたね。実際にこの年、「アイドル」が大ヒット。米ビルボードのグローバル・チャート(米国データを除く)やYouTubeの世界楽曲チャートで1位を獲得しました。こうした結果をどの程度想定していたのでしょうか

 Ayase ここまで世界的にたくさんのかたに聴いていただける曲になるとは思っていませんでしたが、国内で話題になってほしいなというのは思いながら、めちゃめちゃ狙って作りました。思いきり振って、ホームランを絶対に打つぞという気でした。

 あの曲が受け入れられるかどうかが、僕の精神状況を大きく左右したと思います。

記事後半では、YOASOBIが「Jポップ」にこだわる理由や、海外で目にした風景などについて、2人が率直に語ります。

 あのツイートは、「ビルボードの『Artist 100』(日本国内でよく楽曲が聴かれたアーティストの年間ランキング)で1位を取りにいく」「たくさんの人に聴いてもらえるように頑張る」という決意表明でした。

 僕らは2021、22年と2年連続で2位でした。悔しさで吐きそうで。

 もう、僕はこれで1位を取れ…

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