自分が心から訴えられることだけを伝え続けた。「生きづらいのは、あなたのせいじゃない。社会を変える」。ゲイ(男性の同性愛者)の当事者として、身をもって知っていることだ。発信の場を登録者10万人超のYouTubeチャンネルから政治の場に変えて、7月の参院選に挑んだ。
かずえちゃん(42)=本名・藤原和士さん=がゲイを自覚したのは小学5年の時だった。だけど「人と違うのは悪いこと」と隠し続けた。
会社員を経て30歳のときにカナダに留学。「ずっと偽って生きてきた。もうこれ以上、うそをつきたくなかった」。カナダでは自分らしく生きる、と心に決めていた。
同性婚が認められている国。男性同士が手をつなぎ、女性同士のカップルが子育てをしていた。だが、なかなか言い出せない。カナダに着いて1カ月後の語学学校の最終日、思い切って打ち明けると、「それがどうしたの?」と拍子抜けするような反応が返ってきた。
ありのままの自分で自由に過ごせる一方、「アジア人」として偏見や差別の目を向けられることがあった。人はそれぞれに、マイノリティー(少数派)とマジョリティー(多数派)の部分があることを知った。生きづらさの原因は、社会にあると気づいた。
帰国後の2016年、カナダで感じたことを発信しようとYouTubeを始め、LGBTQ(性的少数者)の当事者900人以上の声を聞いた。講演会や映画上映会も開いてきた。
チラシ配れば「オカマ」と言われ…
「参院選に出てみない?」…