自分が心から訴えられることだけを伝え続けた。「生きづらいのは、あなたのせいじゃない。社会を変える」。ゲイ(男性の同性愛者)の当事者として、身をもって知っていることだ。発信の場を登録者10万人超のYouTubeチャンネルから政治の場に変えて、7月の参院選に挑んだ。

参院選投開票日、支援者から花束を贈られたかずえちゃん=2025年7月20日午後8時36分、福井市、本間沙織撮影

 かずえちゃん(42)=本名・藤原和士さん=がゲイを自覚したのは小学5年の時だった。だけど「人と違うのは悪いこと」と隠し続けた。

 会社員を経て30歳のときにカナダに留学。「ずっと偽って生きてきた。もうこれ以上、うそをつきたくなかった」。カナダでは自分らしく生きる、と心に決めていた。

 同性婚が認められている国。男性同士が手をつなぎ、女性同士のカップルが子育てをしていた。だが、なかなか言い出せない。カナダに着いて1カ月後の語学学校の最終日、思い切って打ち明けると、「それがどうしたの?」と拍子抜けするような反応が返ってきた。

 ありのままの自分で自由に過ごせる一方、「アジア人」として偏見や差別の目を向けられることがあった。人はそれぞれに、マイノリティー(少数派)とマジョリティー(多数派)の部分があることを知った。生きづらさの原因は、社会にあると気づいた。

選挙期間中にかずえちゃんがTシャツに付けていたバッジ。友人の手作りやLGBTQを象徴するレインボーカラーのものも。黄緑色の「差別を許さない!!」バッジは、選挙戦の終盤でかずえちゃんが自筆して追加した

 帰国後の2016年、カナダで感じたことを発信しようとYouTubeを始め、LGBTQ(性的少数者)の当事者900人以上の声を聞いた。講演会や映画上映会も開いてきた。

チラシ配れば「オカマ」と言われ…

 「参院選に出てみない?」…

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