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精神科医の小西聖子さん=2024年1月17日、東京都西東京市、大久保真紀撮影

 性暴力の被害にあったとしても、その後の周囲の対応やケア、治療によって、被害当事者は回復に向かって歩むこともできる。性暴力被害者の治療に携わってきた精神科医で武蔵野大学教授の小西聖子さん(65)に何が大切なのかを聞いた。

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性被害、高いPTSD発症率

 性暴力被害者がどれぐらいの割合で、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症するかというと、調査によって差があるものの、さまざまな調査で示されているのは、20~50%という高い割合です。

 それに比べて、事故や災害の経験でPTSDになるのは5%以下です。しかも、平均では3~4年でよくなります。

 性暴力と家庭内暴力(DV)を経験する人は、事故や災害に比べれば少ないですが、PTSDになる確率は高く、トラウマの持続期間も長くなります。強制性交は持続期間が平均で10年といわれています。

 親から繰り返される性虐待や他人からの1回限りの被害など、性暴力の形態はさまざまで、症状も多様です。症状を抱えたまま生活している人も多く、臨床で出会う被害者はごく一部と考えるべきです。

回復に必要なことは

 共通して回復に絶対必要だと…

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