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季刊誌「NAGI 凪」を発行してきた吉川和之さん(左)と坂美幸さん=2025年4月28日、三重県伊勢市馬瀬町、安田琢典撮影
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 四半世紀にわたり、三重県内を中心に多くの読者に愛されてきたローカル季刊誌「NAGI 凪(なぎ)」が今年3月、通算100号をもって終刊した。「有機的で普遍的で持続的」を大前提としたテーマを掲げ、県内の自然や産業などを多角的にとらえてきた。その「NAGIイズム」は終刊を迎えた後も、二人三脚で編んできた2人が、それぞれの道で紡いでいく。

 三重県伊勢市の出版社「月兎舎(げっとしゃ)」が年4回発行してきたNAGIは、2000年3月に創刊された。同市内の別の出版社で働いていた吉川和之さん(63)が発行人として、坂美幸さん(56)が編集長として手がけてきた。

 カラー写真がふんだんに使われたNAGIはB5判、100ページ前後。扱ったテーマは熊野古道や農業、林業、町の老舗、海女、移住者など多岐にわたる。キャッチフレーズは「三重を刺激する大人のローカル誌」だった。

 「凪」という穏やかなタイトルと裏腹に、吉川さんと坂さんのほか、社員や外部ライターが書く記事は、いずれも「波風が立っていた」という。

 例えば、熊野古道は舗装された国道部分もあれば、江戸時代からそのままの石畳に覆われた山道もある。高度経済成長やバブル経済に触れてきた吉川さんは「豊かさと便利さを追求した後の矛盾」を熊野古道にみた。

ネットに頼らず現場に赴く

 吉川さんは「地域の経済循環…

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